離職率の高いイメージがある
看護師の職場の中でも急性期病棟は離職率が特に高いというイメージがあります。なぜそう思われるのか、そして実際にはどうなのかを紹介していきます。まず、急性期病棟は非常に忙しいです。患者の急変や緊急入院に対応するため、突発的に仕事が発生します。その結果残業時間も増えます。毎日3~4時間の残業は当たり前という職場も多いです。急性期に限らず看護師は忙しい仕事ですが、とりわけ急性期病棟は忙しいです。そのためプライベートの時間を確保しにくく、予定を入れることができません。せっかくの休日でも、人手不足のところが多いので研修や勉強会の参加を要請されることがあります。そうなると増々プライベートとの両立が難しくなります。特に子育てをしている看護師には厳しい環境でしょう。
また、療養型の病棟や介護施設などと比べると夜勤の回数が多く、生活のリズムが狂ってしまいます、身体だけでなく精神的なストレスが大きくなり、体調を崩してしまう看護師が少なくありません。業務においても、急性期病棟特有のスピード感についていけないと感じている看護師は多いです。重症患者を扱うため、正確さに加えてスピード感が求められます。それについていけず、離職してしまう看護師もいます。
実際の離職率
では、実際のところ離職率はどのくらいなのかをみていきましょう。まず、看護師全体の離職率は2017年の時点で10.9%、新人看護師に限ると7.6%です。そのうえで急性期病棟の離職率を知りたいところですが、実は急性期病棟というくくりでの離職率のデータはありません。しかし、急性期病棟があるのは大きい病院であることがほとんどなので、病院の規模から考えることができます。病床数が多い病院ほど急性期の治療に力を入れています。
では病床数別に離職率をみていきましょう。まずは正規雇用で、少ないほうから順に、20~99床は13.0%、100~199床は12.4%、 200~299床は11.9%、300~399床は10.4%、 400~499床は9.9%、500床以上だと10.1%です。次に新人看護師は、20~99床は12.4%、100~199床は10.7%、 200~299床は9.0%、300~399床は7.1%、 400~499床は7.9%、500床以上だと6.6%です。
このことから、病床数が多いほうが離職率は低いことがわかります。つまり、急性期病棟の離職率は実は看護師全体の離職率よりも低いと言えます。急性期病棟は離職率が高いと多くの人が思っていますが、イメージとは違って低いほうなのです。とはいえ忙しい職場であることに変わりはないので、それを理由に離職する看護師が多いのは事実です。