本当の退職理由は人間関係
看護師になるためには専門の教育機関に入学し、国家試験に合格する必要があります。簡単になれるような職業ではありません。相当な努力をしてやっと看護師の資格を手にしたにも関わらず、離職する人が多いのはなぜでしょうか。女性が多いので結婚や出産を機に退職したという人は多いです。そのほかだと給与面の不満や体力的な問題、残業の多さなどが挙げられています。これらは退職届に書かれる理由として多いものですが、本音は少し違うようです。実際のところほとんどの看護師は人間関係に対する不満を持っており、それをきっかけに退職するケースも多いのです。
人間関係が悪い職場とは
では、人間関係の悪い職場の特徴はなんでしょうか。まず、「人手不足」であることが挙げられます。辞める人が多く新人も定着しない職場は、残った看護師で現場を回さなければなりません。しかし病院としては病床に空きを作りたくないのでどんどん入院を受け入れます。人手が足りない状態で業務だけが増えた結果、看護師はさらに疲弊し、ピリピリした雰囲気になってしまうのです。
また、「管理職がダメ」な職場も人間関係が悪化します。現場で働く看護師を管理する立場にある理事などの存在によって職場の雰囲気は大きく変わります。現場のことを理解せず意見を受け入れない、すべてを利益優先で考えるなど、こういった管理職がいる職場は当然人間関係にいい影響を及ぼしません。管理者同士の人間関係が悪い場合は最悪です。
いわゆる「お局様」と呼ばれる看護師の存在もやっかいです。長く同じ職場に勤めているベテランからいじめや妨害を受けて仕事に支障をきたすケースが少なくありません。もちろんベテラン看護師がすべてそうというわけではありませんが、お局様と呼ばれるやっかいな看護師がいるのは確かです。
新人看護師が悩みがちなのが、先輩看護師との関係です。責任の重い仕事なので、指導に関して厳しくなる場面は多いでしょう。これは仕方のないことですが、仕事と関係のない場面でもきつい態度を取られるようなことがあると、モチベーションは下がっていく一方です。
また、患者やその家族との関係が悪化することもあります。患者からのセクハラや家族からのクレームに悩まされて退職をするケースです。
適切な医療が提供できなくなる
医療現場では医師や看護師、その他多くのスタッフが連携を取りながら医療を提供していきます。そのためスムーズな人間関係は適切な医療を提供するための大切なポイントなのです。しかし、人間関係が悪いとそれが上手くいきません。結果として、患者に悪影響を及ぼすことになってしまうのです。命を預かる仕事であり、少しのミスが重大な事故につながる可能性もあります。そのため、人間関係の悪い職場で働くことは非常にリスクが高いのです。